日本語には無い「冠詞」の概念
英語は日本語とは程遠い言語なのはご存じの通り、日本語には無い概念が多数存在しています。その中でも、中学英語の初めに習う「冠詞」という概念は、文章を読んだり、会話をする中でとても重要な役割を果たしています。英語ネイティブの方たちからすると、会話文での冠詞の使い方や、名詞の複数形などで、「話し手が英語ネイティブかどうか」が分かるとおっしゃる方も少なからずいます。英会話などでは避けては通れない、冠詞について概念をマスターできるようになりましょう。
冠詞の役割
日本語は冠詞はない言語ですが、英語の冠詞とはいったいどのような働きをしているでしょうか?
彼は一匹の猫を飼っている。
こちらの日本語の文章を英語にした場合、必ずと言っていいほど冠詞が付きます。複数名詞は特別例外ですが、1匹と文章で表している以上、冠詞はこの文章と切り離せない関係にあるのです。つまり、どのような状態のものなのかを「 a 」と「 the 」を駆使して具体性はないですが、区別しているということになります。
中学英語では、会話の流れを中心にその単語が会話の流れ的に新しい情報なのか、古い情報なのかを区別するための冠詞であると学習しますが、新しい概念なのでなかなかなじめないという英語の冠詞です。
A: I have a cat. (猫を一匹飼っている。) まだどんなネコかわからない。
B: I want to go to the park. (公園に行きたい。)どこの公園か推測が付く。
モノや人を特定している冠詞「the」
ほとんどの参考書に「 the は定冠詞」と表記されていることが多いです。でも、定冠詞と言われても、字面ではわからないし、どのような働きを英文中でするのかわからないかということも多いはずです。そもそも冠詞ってどこにつくのかとか、よくある質問であり、日本語には無い概念なので想像するのが難しいというのはあります。
I have the textbook that I borrowed from my friend.
この例文は少しトリッキーですが、一緒に見ていきましょう。「 the textbook 」は「友達から借りてきた( that I borrowed from my friend )」と説明されています。ここでの、「友達から借りてきた」の文章は9割無視して構いません。文章中の「 textbook 」の前に「 the 」が使われている意味とは何でしょうか?
これは、その textbook を特定しているかどうかです。「特定している」とは、その textbook がどのような状態にあるのかを表現している箇所です。この文章で特定を表現している部分は、「友達から借りてきた」という部分です。世の中にあるすべての textbook の中から、「友達から借りてきた」 textbook を文章中で表現しているため、textbook という名詞の前に「 the 」が必要になります。
「 the 」は文章中で特定されている名詞の前に付く
モノや人を特定していない冠詞「a/an」
これもまた参考書に不定冠詞という、とんでもない名前を付けられて載っている、冠詞の王様「 a/an 」はよく、会話文で最初に使う不定冠詞と表現されることが多いですが、まあ、意味わからないです。じゃあ、会話するときの名詞は、最初は全部不定冠詞くっつければええんかという話になりますよね?
I have a textbook that I borrowed from my friend.
こちらはさっきの文章の the の部分が a に置き換わった文章になります。正直に言うと、この変わりようだけで、かなり文章が変わってきてしまいます。モノやコトを特定している「 the 」と違って、特定していない「 a/an 」の意味とは、この文章を使って説明すると、意味が見えてきます。
まず、「 a/an 」は「一つ」という意味になります。そこから広げて、 a textbook は世の中の textbookの中からランダムな一つという意味になります。(that I borrowed from my friend の部分は無視してください。)
この文章では、主語(私は)は、「友達から借りた( that I borrowed from my friend )」という部分から、本を何冊か借りたうちのランダムに一つを持っているという意味の文章になります。
「 a/an 」は複数ある名詞の1つを示している
2文から比較した冠詞の意味

こちらは先ほどの2文を比較した文章になります。一文目は左側の図になり、二文目は右側の図になります。
冠詞概念まとめ
モノやコトを特定している「 the 」に比べ、特定していないまたは、多数の中から一個をランダムに取り出すように使われる「 a/an 」の概念に戸惑うことが多いです。冠詞類は日本語には存在していないシステムなので、慣れるしかないといえばそのようになってしまいます。
高等教育での冠詞はたくさんの種類が出てきますが、一つの図で解決できることが多いのでここに置いておきます。

こちらの図は、一つの本( a book )を中心として、ほかの本をどのように表現するかの方法を、一つの図にまとめたものです。高等英語ではこれらの他に another one や each other などの冠詞と冠詞を繋げたものが出できますが、ここでは冠詞の根幹に注目したため説明は以上です。