日本語の文と英語の文の流れ
初歩で学ぶはずなのに、意外と教科書には載っていない言葉の流れというものが存在しています。セリフのある部分を強調したい時や、セリフを面白く言い回したい時など、普段の何気ない会話で意識していない部分が、どのように言葉で伝達されているかということです。ここでは、日本語の文章と英語の文章を比較して説明してみます。
日本語の文の流れ
私は、明日、本を図書館で借りる。
I will borrow a book at the library tomorrow.
こちら二つは同じ意味を持っている文章です。
この日本語の文章の流れを分析してみると、前述した文章をこのような形に変形できます。
私は、明日、図書館で本を借りる。
私は、明日、本を図書館で借りる。
明日、私は、図書館で本を借りる。
日本語では、どれも同じ意味に取れると思います。
明日/私は/図書館で/本を/借りる
このようにブロック別に区別してみると日本語ではこのような5つの構成要素が出てきます。
じゃあこれらの日本語は果たしてどのような感覚で並べ替えられているのでしょうか?
一般的に、言葉は感情を乗せて伝えられるので、話者によって言葉の並べ方に違いがどうしても出てきます。ここでは、一番最初の文章をスタンダードな文章として、いったん考えてみます。一般的に日本語は重要な情報や説明する情報を先に出す傾向が高いといえる言語ではないのでしょうか?
次の例を見ていきましょう。
昨日買ったTシャツがもう破れていた。
こちらの文章は、Tシャツがどのような様子なのかを説明している文章が、人の前についています。このように、日本語では説明したいモノの前に、説明する文章がつくことが多いです。
英語の文の流れ
I / will borrow / a book / at the library / tomorrow.
こちらは、先ほど例に出した文を、構成ごとにブロック別にしたものです。品詞別に分解したものではありません。この文章は未来形ですが、日本語では未来形を判断する際に文脈で判断します。ここでは、未来形は扱わないので説明は省きますが、とりあえず will と borrow はセットで考えてください。
Will borrow I at the library tomorrow a book.
A book I at the library tomorrow will borrow.
Tomorrow at the library I will borrow a book.
日本語の流れのように、また3文をランダムに当てはめて作ってみました。一文目は勘の良い外国人なら、何を言いたいかが分かる程度の文章ですが、標準的な文章ではありません。二文目では、私が明日図書館で借りる本という意味になってしまい、本がどのような本なのかを説明している文章になります。よって、同じ意味の文章には成り立ちません。
3文目では、スタンダードな I will borrow a book at the library tomorrow. の文と意味はほとんど変わりません。しかしながら、情報の重さが変わってしまいます。2文目では、本を説明している文章が完成してしまったことで、英語はモノやコトを説明する文章が後ろに来てしまうことを、読み取れたと思います。これは重要な情報や説明が、先に来る日本語とは完全に逆であり、3文目では本に焦点が置かれていることがポイントです。比較してみるとこのような形になります。
I will borrow a book at the library tomorrow.
私は、明日、図書館で本を借りる。
Tomorrow at the library I will borrow a book.
本を、私は、明日、図書館で借りる。
2文を比較すると、このような違いが見て取れます。ここでの比較した2文目は、決してスタンダードな文章とは言えませんが、実際の会話となると、意味は通じてしまいます。この場合、先ほどと同様に、日本語と英語の情報の大切さが逆なので、翻訳の順序が逆ということです。
A person walking around in front of the police station was being questioned.
交番の前でフラフラしている人が職務質問されていた。
ちなみにこちらは、少し複雑な形になります。このように英語はモノやコトを説明する文章が説明したいモノやコトの後ろに続く特徴があります。
日本語と英語の情報の大切さは逆の位置にある
比較した情報(文)の流れ
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日本語の流れと英語の流れを比較することによって、情報の方向が分かります。日本語は説明したいモノやコトに情報を前付けするシステムに対して、話されたり、文章にされるスタンダードな英語は、後ろに多様な情報を後付けできるシステムであるということです。これにより文章の根幹であることを先に決めて置き、後で詳細情報を追加することができます。

全体の文章の根幹をなすのは、文章全体の行為者である人やモノです。例文を見てみると I went to the restaurant. の「私はレストランに行った」という、「私」という何かをする人(行為者)から始まっています。日本語にすると「私は友達とレストランに行った」ことになります。この際の at Shibuya は無視して構わないので、まずは英語と日本語の伝える情報の方向が違うということを意識してみましょう。
英語は後ろに多様な情報を後付けできるシステムが備わっている